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黒の彫像2~もし灯の屋敷にミントが潜入した場合~

広告外しも兼ねて、Pixiv煮あげたものを書き直し。
彩さんところとのリンクをつなげた記念に書いたものです。絵に関しては勝手につけるとまずいかなーと思ったので、こちらでは付けていません。
カーボンフリーズはいいものだ。

Pixivで何個かネタを上げているものの、せっかくブログが有るのだし、こっちはこっちで更新したいところ。
ブログを先に更新して、それからPixivにあげるかなぁ
 灯と思わしき白衣の娘と対面した瞬間、ミントは有無をいわさず金属化の魔力光を飛ばした。
「おおっと、まぁ落ち着いて!」
 慌てて手のひらで防ぐ灯。手にうっすら光るものの、特に変化は感じない。
「ふざけないで、夢雪さんと華雪さんを返してもらうよ!」
 さらに魔力を飛ばして灯の足や腕に当てるも、当てた場所はキラキラと薄く輝くだけで金属になる気配は見られない。
「(私やお姉ちゃんと同じ体質?それにしては魔法を使ってこないようだけど)」
「だからさっきから何なのよもう。返すって言ったって、私が彫像になったら返すものも返せないよ?」
「それはそうだけど、何か悪さするかもしれないし」
 ミントはマイのように知識を奪う術は持っていない。灯の言うとおり、このまま金属化させては引き出せる情報も引き出せなくなるのは明白だ。
「街の人たちはみんな彩さんが戻したよ。だから2人に罪はないんだから」
「へぇ戻っちゃったのかぁ。なら解放してやらないと」
「ほんと!?」
「少し待っててくれないかな?」
 しぶしぶというよりも、イキイキした顔で端末を操作する灯。周囲には再び、華雪を運んだ時のように奇妙な音が響き始める。

『やっと3人で帰れる』。ミントがそう思った矢先、背中に透明な何かが触れる。
 彼女が驚いてその場から逃げようとした瞬間、『透明な何か』がミントを挟み込み、表情に驚きが走る。
「騙された!?」
 すかさずミントは金属化のマナを放つも、透明な何かが魔法を受け止める。膜上の物体はマナを受け止め、ほんのりと橙色に輝きながら吸収していく。
「魔法を、吸収してる?」
「ご名答。これは『魔力浸透膜』といってある程度のマナなら吸収して散らしてしまえるの」
 その言葉の通り、ミントががむしゃらに魔力を打っても膜をオレンジ色に染まるばかり。硬化はおろか突破すらままならない。
 次第にミントの体は押し花のように、前後から魔力浸透膜に挟まれるように包まれてつつあった。その間には輸送用のラインが通っている。灯は最初からミントを騙し討ちするつもり満々だったというわけだ。
「ここから出して!」
「耐久力はそこそこ、と。出す前にもう一つの実験といこうか」
ミントの言葉をよそに、灯は端末を操作する。
「もう実験はいい……?」
 轟音とともに急行した装置を見て、ミントは言葉がつまる。凹型の長方形が二枚、前後に挟みこむように包囲したからだ。
「これって、確か」
「心当たりが沢山あるようだね。これは内部を一度真空にした上でカーボンを流し込み、冷却することでキレイに保存することが出来る器具。さしずめ『カーボンフリーズチャンバー』って所かな? 街に飾っている女の子2人の彫像はこれのプロトモデルというわけさ」
 女の子2人。それは間違いなく夢雪と巻き込まれた女の子に違いない。
「なんで、どうして?」
「趣味と実益ってやつでね、何かをやるにもお金が必要なの。だからあなたを彫像としてオークションに出すってわけよ」
 ミントは青冷めた顔で首を振る。灯の目と声はとても冗談に聞こえなかったからだ。
「あともう一つ。この膜は炭素に反応して融解するように作ってるの。でも、それを試す実験台が居なくてね」

 「そういうことよ」と言うやいなや、ミントを包む膜が宙に釣り上げられ、合わせるようにチャンバーがミントごと膜を挟み込む。
 そしてチャンバーは周囲の空気を吸い取り、圧力を高めて膜から空気を抜いていく。

「(く、苦しいよ! 早くとめて!)」
 圧力によって膜が体に張り付き、ただでさえ取れない身動きに加え、締めあげられるような感覚がミントを苛む。そして、空気が抜けることで息苦しさは極限まで募る。
『もうダメかもしれない』という考えすら出始めた瞬間、アラームが響く。
「そろそろ大丈夫かな。いまからカーボンを流しこむから楽になるよ。永遠にね」
 内圧が高められ、半ば真空状態となったチェンバー内。響くアラートとともに、チャンバー内に無数の放出口が開く。
 もうろうとする意識のなか、空気とともに一斉に黒い液体が放出された。
「(あぁぁ……いや、流し込まないで!)」
 その正体は液体の炭素、カーボナイトと呼ばれるものだ。
 浸透膜によって身動きがとれない今のミントに抵抗するすべはなく、宣言通り夢雪と同じく固めるつもりなのだろう。
 チェンバー内は黒い水で満たされ、悲鳴を上げる間すら無く、同時に噴出された冷却剤によって液体は固体に変化していった。


「さて、出来上がりはどうかな?」
 しばらくして、灯はチェンバーを解除する。
 白い冷気が吹き出し、黒い板が姿を見せる。

 その板は厚さのある炭素できており、中心部には埋め込まれ、炭素処理によって黒く染め上げられたミントの彫像があった。
 空気泡すら残さない美しい処理。表面にシワが寄っているのは魔力浸透膜のせいに違いないが、これはこれで非常に美術的価値が高い。
 なにより相手に自由なポーズを取らせることが出来るという利点は他の研究者に売り出すことも出来る。
 これ以上に美しく仕上げたいのであれば、別の方法で固めたらいいだけのことだ。
「う~ん、キレイに仕上がった。姉妹を金属レリーフにするのもいいけど、こういうのもありだね」
 満足気に見つめる灯。『レリーフになった感想は?』と問うものの、分厚い炭素板に閉じ込められたミントは表情すら固まったままだ。
「せっかく完成したし、キラキラしてる魔女らしくしてみようか」
 灯が端末を操作して別の機械を呼び出すと、分厚い炭素板の全面に高圧ガスを吹き付けていく。
 吹きつけられた場所から、表面に付着した白く吹いた粉が落ちていく。周囲と並行して胸元や顔、スカートの折り目から膝裏に至るまで徹底的に洗浄されていく。
 こうしてカーボンフリーズ処理によって生じた不純物――表面に出てきた汚れや魔力浸透膜、冷却液といった炭素以外の化合物。
 そしてミント・ローレンスの原子をはたき落とし、壊さないように科学の力で丁寧に磨いていった。

「うん! やっぱりこっちの方が様になるね。これならさっきよりも高く売れそう」
 洗浄作業が完了した炭素板は黒い輝きを帯び、少女の姿はより浮き彫りになった。
 まるでその姿は額縁に飾られた少女のレリーフそのもので、このまま飾っても芸術品として遜色がないほどだ。
 少女の表情は"あぜん"としており、予期せぬ処理に見舞われたという驚きが灯を強く惹きつける。このままコレクションにでもしたいが、研究費を工面するために固めている以上は手放さなくてはなるまい。
「ひとまずはこの子を包装して、業者を呼ばないとね」
 灯は存分に目で堪能すると、ラインに沿わせるようにミントの炭素板をどこかに運ばせていく。

「それにしてもキラキラしてるこれは……金属かな?」
 キラキラしている手足を見ると、金や銀にも見える光沢がうっすらと見える。それに攻撃を受けた時と比べると、体に重たさを感じる。彼女の『マナに対する鈍さ』という体質がここになってようやく現れたのだろう。
「金属の魔女が金属に飲み込まれる。いや、溺れるかな?」
 灯はオークションに出すミントの題名をメモに書き留め、残っている実験にとりかかるのであった。


 その後、街にやってきたマイによって、灯は壁と一体化することになる。それから灯がどうなったかは、さらに別の話になるだろう。
 幸いカーボンフリーズになったミント達を解除する手段はマイが奪ってくれたから助かったものの、ミントにとって災難な数日だったに違いない。
 もしマイの到着があと1日遅ければ、ミントは配送業者によって運びだされ、オークションの商品として誰かの手に行き渡っていたのだから。
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