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襲いかかる色、追い詰められる色(前編)

書き上げたものからパパっとお出ししてスピードアップを図ってみる。
砲丸化とか状態変化とかあるよ
「うへヘヘ、力が湧き上がってくるわぁ!」
突如校庭に現れたイロクイに生徒は一瞬固まるも、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。中には石を投げて抵抗する生徒もいるが当然効く様子もない。
「ブツケル、ブツケル!」
逆に砲丸イロクイは自身の腕にひっついていた砲丸を一つ取り外し、投げつけた。
「うわっ! あれ、いたく――」
鉄だとしたら当たれば致命傷も免れない速度。しかし砲丸はスポンジ玉のように柔らかくぶつかり、少年の下に落ちる。だが、それだけでは終わらない。ぶつかった砲丸が割れると、少年を玉の中へと吸い込んだのだ。

「出せ!出せってば!」
もがいても叩いても砲丸の中は開きそうにない。それどころか暴れる度に力が抜けていく。まるで何もかも、真っ白になるように。
「力が、ヤバい……」
「うふふ、いい色が出そうだわぁ」
砲丸イロクイがぶつけた玉を見ると、鉄色の玉は徐々に赤色に変色しているのが解る。ぶつけた相手の色を奪い、取り付けて蓄える。それが砲丸イロクイのやり方なのだ。
「まだまだいるわ、出ておいで!」
しゃがみこんでいる女子生徒や、逃げまとう男子生徒にも砲丸をぶつけだすイロクイ。瞬く間に校庭内のパニックは広がりつつあった。
この騒ぎは当然、高程度ドッチボールをして遊んでいた健児とサンの耳にも届いていた。
「大変だ健児、萌美路(もみじ)が変なバケモノに捕まってしまった!」
「バケモノって……」
「イロクイだな。お前たちは学校からとっとと帰れ」
健児の子分は頷くと、ランドセルを取りに校庭の端へと向かう。しかし、そこに鉄の玉が飛来し、少年3人を瞬く間に取り込んだ。

「色使い、タクサン、色がある」
「くそっ、レンにタクジもかよ。おい、全員離せ!」
「いや、イロクイに話は多分聞かないんじゃ……」
サンは言葉を濁す。しかし。
「いいわよ、こっちにいらっしゃい」
サンの意表とは異なり砲丸イロクイは健児の言葉に頷き、言葉を返した。健児はしめたものとおもい、砲丸イロクイに近づいていく。
「待って!」
近寄ろうとする健児にサンは彼の半袖を掴み、呼び止める。
「きっと罠だよ」
「罠だろうと色のチカラがあるんだ、なんとかなる!」
もちろん健児も無策ではない。砲丸イロクイが襲ってきた瞬間、全力で色をぶつければ倒せるだろう。そう考えていた。だが、そこまでうまくいくものか。
「よく来たワァ。みんなと一緒に力になりなさい!」
「それは――あっ」

鉄の玉をぶつけてくるならよければいい。そう考えていた健児を襲ったのは、中が空洞になった2つの半球。健児はあわてて手をつっぱらせるが、そのまま押し潰されるように両手の半球は1つの玉になった。
「色、イッパイ! 吸い取るるる」
そして、玉の中からキンキンと、何かが高速で回転するような音が響き渡る。同時にべちゃっ、バチャっと粘液が飛び散るかのような音もまじり、イロクイの顔にも歓喜が満ちる。外に漏れ出すほど、色が詰まっているということだからだ。
「イタダギマ……ン?」
最後に研ぎあげた健児から色を吸い出そうとした。しかし、オレンジの色が邪魔をするかのように、イロクイの腕に降り注いだ。

「うかつには近づけない以上、こうするしか」
サンの色はもともと人の色――生命力を回復させる力だ。したがってイロクイに直接対抗しうる力ではない。だが、健児から色を奪われるぐらいなら、少しでも時間を稼ぐしかない。
「アァ!色が沢山!!」
砲丸イロクイは目先に降りかかったサンの色に飛びつき、蓄えていく。同時にこれまで取り込んでいた砲丸を自分の体にくっつけていき、力に変える。色鮮やかな砲丸の表面には顔や手が浮かび上がり、取り込まれた子たちを象っていく。サンの色がイロクイに力を与え、パワーアップさせている証拠だ。
様々な色を得るということは、イロクイも強力になるということ。時間稼ぎとはいえイロクイは恐ろしい勢いで強くなっていく……サンは間近でそれを感じていた。

「うふふアリガトウ青葉君。アナタも私の一部にしてあげる。顔にして一緒に色を集めましょ」
砲丸イロクイは両手を外すと、サンに向ける。遠くには磨かれ、表面にツヤが生じている緑色の玉が転がっている。人間には思えない物体だが、おそらくあれが健児なのだろう。
しかし、健児も気になるがもう一つ、イロクイの言葉で引っかかった。
「ま、待って。なんで僕の名前を……」
「なんでって、私を知らないの?ひどい! 私は利恵よ! シノムラ利恵よ!」
「シノムラさんって、確か……」
サンは狂乱するイロクイの言葉が信じられなかった。クラスメイトの1人がイロクイ? 以前の理科室のように取り込まれたのだろうか。それにしても様子がおかしい。自分から広げることもなく、どんどん色を溜めて、まるで――。

「モウイイ! 一緒ニスレバイイ! エロケンより青葉君がカッコイイ!」
砲丸イロクイは両腕をサンへと向け、挟み込もうと腕を回す。囚われたら最後、健児のように磨き上げられ、色を吸い尽くされてしまうだろう。
「(ここまで……?)」
まさに万事休す。サンが覚悟を決めたその時、イロクイの動きが止まった。
「オォォーッ! 色、色!」
サンは突拍子もない声に目を開ける。するとイロクイは向きを逆に変え、1人の少女の元へと走っていく。その近くには赤い色が撒き散らされていて――。
「真打ち登場なのね! サン君、紫亜さんに連絡するのね」

サンは首を縦に振り、慌てて携帯電話を取り出す。城奈もまた、イロクイに有効打を与える色ではない。それでも時間稼ぎに回っているのだ。ここで良いところを見せなくちゃ健児に笑われてしまう。
「(早く出て……)」

「もしもし、紫亜さん。青葉です!」
「サン君、今どこにいるの!?」
「色渕ガ丘小学校です。イロクイがいきなり現れて大変なんです!」
「こっちも大変よ。色神様が突然きらりちゃんを連れて外に飛び出したの」
「えぇっ!? 零無さんがこっちに」

イロクイの襲来を感じ取り、外に出たのだろう。しかし、サンにはまだイロクイについて、不可思議な部分が多く残っていた。もし出逢えばどうなるか、想像に易い。
「(とにかく、ここからなんとかしないと……)」
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