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融け合う色と帰ってきた少女

長らく止まってましたが、月1ペースで書き出せればと。
ペースはもっとあげたいけど、仕事とかそういうのを探す兼ね合いもあるのでご了承をば。
今回は悪堕ちめいた何かです。状態変化は次辺りで


夢であってほしくない夢と、忘れたい夢。2つの夢が私にはある。今見ている夢は、きっと前者。今こうして、身体を飲み込もうとしているしゃべる闇も、すべて――私のもの。



私は時任美奈子(ときとう・みなこ)。色渕ガ丘小の生徒だったけど、謎の化物に襲われてから、ずっと休んでいる。


あの時、理科室で出くわした人体模型の化物は、私のお腹に手を入れると、中から気持ち悪いものを引き出した。ピンク色で、少し茶色い内臓。それと引き換えに作り物の内臓を突っ込まれると、私の身体は人体模型に少しずつ変えられていった。

今でもまだお腹を弄られる感覚や人体模型の顔が夢に出てくる。だけど、本当に休んだ原因。それはこれまで積み上げてきた私の力――携帯に保存していた脅迫用の写真データが先生や親に見つかったことにほかならない。


くだらない男子や裏切ろうとした女子の弱みや恨みを集め、従えることで保ち続けてきた力。いずれはアイツ……四谷城奈の弱みすら握り、下僕にするのも夢ではなかった。


だけど、それが全部消えた。男子が倒れている私から携帯を持ち出し、パスワードを解除して中を見たのだ。

親からも怒られた。選挙に負けて、リベンジすること無く、のうのうと道を変えた父さんにも。それが何よりの苦痛だった。


「……」

その日は新月。いつもの通り自習して、寝るだけ。親にも顔を見せずにお風呂に入り、寝るだけ。そんなはずだった。


部屋の隅に、何かがいる。仄暗い闇が固まって蠢き、目のような赤い点が見え隠れする。私は一瞬固まったが、すぐに声を上げた。


「あんたは?」

「ワタシは、イロオニ」

濁った声、アイツと同じだ。あの時、理科室で遭遇した化物と。それだけで私の心は震え上がった。

「く、くるな。私はもう何も持ってない。お前たちが全部取った!」

「オマエの、カラダがホシイ。ココロ、ホシイ」

「いやだ、これは私のだ!」


近くにあったノートを投げつけるが、まるで効かない。霧に向かって投げつけているかのように素通しし、まるで立体映像のようにそいつは、黒い霧は姿を変える。


人体模型。あの時私を襲った。恐ろしい化け物の姿。

「ひ、っああああああっ!!!?」

「クロイ心、ヨドンダ意思。全てがワタシの、チカラになる」

ノート、鉛筆、筆箱、何もかも投げつけるが全部通らない。親も来ない。いつもどおり暴れていると思っているに違いない。

ベッドに潜り込んでも、声は続くばかり。逃げ場もない。どこに逃げても同じだ。


「ムダダ、ニンゲンの子。ニクをモラウ」

抵抗する間も虚しく、人体模型の手は掛け布団をすり抜け、私の背中を貫通した。冷たく、抜き取られる感触とは異なる奇妙な圧迫感。異質な存在が、私の中に交じり合い、一体になるかのような、妙な安堵があった。


「ソウダ、ユダネロ。オマエに無いものを、ワタシはアタエル」

「私に、無いもの?」

「統ベル力、変える力、ニンゲンの肉を得ることで、イロオニはその全てを操ることができる。ニンゲン、お前は支配を欲スル。故に私はキタ」


イロオニという黒い霧は、私に安堵とどす黒い思い出を思い出させながら語りかけてくる。クラスにはびこるガキのような男子、各々で嫌いな女子、好きな男子を言い合うクラスメイト。ただ取り巻くだけで何もしない奴ら。

そんな奴らを全部、私が纏めて管理する。誰ひとりとして秘密を、目障りな行動を許さない。もし、こいつが私だけでは出来なかったことを可能にしてくれるだけの力を与えてくれるなら、良い条件だ。いくらでも身体を渡したくなる。


「お前は秘密を、害する存在を管理したいのだろう。万物を統べる頂点に立ちたいのだろう。私ならできる。そのためにお前の体が必要だ」


支配。人間だけではなく、自然も含めた全ての支配。それがイロオニの望みだと、私自身も感じ取れた。

意思に同調すればするほど言葉は片言ではなくなり、自分の意志もイロオニと混ざり合っていく。声もいつの間にか、恐ろしさを感じなくなった。


だけど一つだけ、それを聞いてからでも遅くない。

「なぜ、私なの?他の人――バケモノを追っ払った、転校生や根暗のほうが強いのに」

「お前の追い払った連中は、私の敵。『色使い』。だがお前は、奴らに勝る力を持っている」

「その中に、四谷城奈は?」

「お前のいう四谷城奈と、赤の色使いは、同じだ」

イロオニの答えに、私の意思は決まった。いや、より強い意志となってイロオニに食らいついた。淀んでいた意識をただひとつ『復讐』に紡ぎ上げ、半ば同化しつつあるイロオニの主導権を簒奪する。


「ナニヲする!?」

「決まっている、交渉は成立よ、だけどこれは私の身体。私の心! あんたは私の心に入り込んで乗っ取ろうとしてたのだろうけど、そうは行かないわ!あんたの力は私のもの。私は、あんたの力で色使いを支配する!」


私は支配者だ。のらりくらりと道を変えず、曲げることもしたくない。ただ、力が少し足りなかった。だから、このイロオニの力を手に入れたかった。

心がバラバラになりそうで、イロオニが望む底なしの欲求が引き裂こうとしているのもわかる。ふざけている。たかがよく解らない霧の分際で!

「バカメ! ニンゲンノ子が飲み込めるモノカ。ココロがクダケ、ニクになるとイイ!」

「あ、ぐぅ……バカはあんたよ。あんたで、心を埋めてやる」

少しずつ、満たされないものが埋まっていく。決して満たしてはいけない黒い闇で心を満たし、身にまとう。

「埋めてやる、埋めてやる、埋めてやる埋めてやる埋めてやる……!」

足りないものが満たされていく感覚は、まるでテストで100点を取り、望み通りに進むかのような感覚にも似ていた。だがまだ足りない。襲われ、失墜した原因を作った色使いへの強い復讐心が牙となって、黒い霧に食らいつく。

イロオニの意思は少しずつ、美奈子に飲み込まれつつあった。


「オォ、ワタシノ、オォォ……クワレル……」

「あんた、名前はなんていうの?」

「名は、ナイ。ニクヲ得て、初メテツケル」

「そう、無いのね。ならあんたは『ナシ』!なにもないのがあんたよ!」


そう言い放つと、私の心に溜まっていた色んな感情も収まっていく。憎しみや欲望、力、全部をあいつ――ナシが吐き出し、受け入れられたからだ。

私はベッドから跳ね起き、明かりをつけて鏡を見た。


パジャマ姿はそのまま。しかし瞳の奥にはギラギラとした禍々しい光を放ち、頭には角。黒い二本角が生えていた。手足には紋様なものが走っていたが、次第に消えていくが、力を入れると再び色が濃くなる。自然と力の調整ができるようになったのか。


「これが、私の姿……ナシ!あんたが言ったこと、本当なのでしょうね?」

しかし、ナシは答えない。拗ねているのではなく、伝える手段を失ったと言わんばかりに、私自身の心に反応を示す。

「面倒な下僕」

『ナシに言葉を与える』と考えると、少しずつだけど伝わってくる。どうやらイロオニ――色の鬼はイロクイという私を襲った化物を家来にし、『色』という生命力を奪って生きているらしい。基本的に人が動物や植物を食べるのと変わらないようだ。

しかし、イロクイが足りなくなったらどうするか。イロクイの集める生命力では満足できなくなったらどうするか。その時に人間から直接生命力を食らったり、イロクイに食べさせるそうな。


ナシの言葉を感じつつ、もう一つの音を聞き取る。怒りの色を伴ってやってくる、お母さんの足音。


「そう、つまり――」

「美奈子、あなた今何時だと思ってるの!?いくらおかしくなったからって限度が」

私は指をつきつけると一言、こう唱えた。


「オマエは家来だ」


濁った声とともに指先から意思を放つと、母親は面食らったように後ろに数歩よろめいた。そして顔を上げると、そこには黒色の紋様が額に書き込まれ、目が虚ろになったお母さんの姿があった。


「私は大丈夫、だから今日はおやすみなさい」

そういい、お母さんの頬にキスをする。少しキスしただけで身体に力がみなぎり、逆にお母さんの顔から生気が抜けていくのを感じた。

「わかった、わ。おやすみなさい。美奈子」

「明日は遅く起きてもいいわよ、疲れてると思うし」

フラフラと、倒れそうなお母さん。あの様子だとベッドまで行き着く前に倒れてそうだ。


「いい能力ねナシ。ほめてあげる」

ナシは答えない。まだまだしつける必要があるのかも知れないが、この力は想像以上に使いやすい。これなら……。

「望み通りに、いいえ、四谷城奈を、色使いをも家来にできる」


みなぎる力のまま新しい姿を鏡で何度も見直す。まさに、新しい自分。

思わずパジャマを脱ぎ、下着姿のまま黒い霧を出す。そして身にまとったのは、黒い魔法少女の姿。フリルだけじゃなく、妖精の羽もついている。しかし足元はハイヒールとどこか邪悪を感じさせる姿。


一度霧を融けば、今度はラバーボンデージ姿。男子が読んでいた雑誌を奪った時に一度目にした強烈な姿だが、胸がいかんせん足りていない。だが、あの時見た靴を舐める男の姿は、美奈子に強い印象が与えている。


「服も自由自在。悪くないわ」

『底なしの欲望を持つ人間の子よ、オマエはもう人間でも、色鬼でもないぞ』

「へぇそう。ならハーフってところね。怖がるとでも思っていた?」

再び霧を解き、力を込め解き放つ。身体は一瞬にして褐色に染まり、髪も目も白く変色する。紋様は色濃く肌に白く刻まれ、霧が形成した羽と尻尾は刃と槍のように鋭く伸びた。もはや鬼ではなく悪魔だ。

「私は私。全部奪われて何もないナシはね、私に尽くしていればそれでいいの」


力を緩めると元の姿に戻る。思った以上に親和性が高いのに美奈子自身も驚きを隠せないでいた。そんな感嘆を示すかのように、余った色を心に流しこむ。

「ご褒美よ、私は良い家来にはちゃんと労うもの」

『今はそうして、粋がっているといい』

「えぇ、私はじゃじゃ馬ほど踏みにじって、叩き潰して、従えたいの」

彼女の浮かべた笑みは、これまでの恐怖を伴っていた人の笑みではない。まるで魔に魅入られた、一線を越えたものだけができる狂気の笑みだった。



3日後、奇跡的な回復を見せた美奈子は学校に戻った。もちろん色鬼と一体化し、さらに生命力を食らったためというのは言うまでもない。美奈子は角などを隠し、しばらくは普通に振る舞うことに徹した。


「四谷さんに青葉君、この前は急にごめんなさい」

「気にすることはないのーね。美奈子ちゃんのこと皆心配してたのね」

「それに、ケン君とも仲良くなれましたし、むしろ感謝したいぐらいですよ」


これまでのことから敬遠する生徒もいたが、大半はアウェーとなった美奈子に脅威を感じなかった。

それどころか、城奈は美奈子を快く迎い入れた。その懐の広さが却って美奈子を苛立たせた。

だが、まだ顔は出さない。外堀を埋めて、確実に襲いかかる。その日まで。


「(あんただけは絶対に、私の家来、いや、奴隷にしてやる)」

こうして帆布町に知らずとして、新たな悪が芽吹いた。

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